コンテンツへスキップ

〝滑る〟ならば対策を

長崎も数年に一度大雪が降ることがあります。
雪に慣れていない我々はそれでもタイヤにチェーンをつけてみたり、
坂の上に住まいがある方は早めに用事を済ませたりします。
子どもたちも登校時「滑らない」ように長靴を用意して事前に対策を練ります。

昨年、我が家は息子が高校受験をしましたが、その際も「滑らない」ように学校の先生方と相談しながら第一希望に合格できるよう対策を練りました。
約一年の長い闘いでしたが、学校の先生方のおかげで先見性を以って挑むことができました。
「滑らない」ように。

先週、農林水産大臣がお米に関する失言で辞任するという事態が起こりました。
今回のように政治家をはじめ多くの著名人がご自身の「言葉」で残念な結果を引き起こしている〝現象〟を何度も見てきました。

つい口が滑ることもあろうかと思います。
ですが、滑ってはいけない場面で決して滑らない発言をする、対策を練って準備する、というのもプロとして大事なことだと私は思うのです。
口が〝滑る〟可能性があるのならば事前に対策を。話し方、ご自身の心の置き方を学ぶべきだと思います。
アメリカでは選挙前、ほとんどの候補者が話し方、伝え方、心持ちをプロに学ぶ、と聞いたことがあります。

たくさんの本を読んできましたが、政界、経済界、スポーツ界において多くの著名人は言葉の力を持っています。
その言の葉(ことのは)がどちらへヒラヒラと飛んで行っても良い影響をもたらすような言葉を使っているのです。

われわれ講師も「師」とつく職業に携わっているものもまた、言葉の力を大事にしなければなりません。
組織において、誰かに何かを「教える」ということを担っている方もまた然りです。

昨年、息子は受験のためにとある塾に通いました。
中3になってすぐ、幼いころからの夢を叶えるため、いわゆる進学校と言われる学校には行かず専門性のある学校に行くことを決めた後のことでした。
集団授業の一環で一人の講師が皆の前で息子の行く学校を名指しして「逃げるな」と言ったそうです。
おそらく進学校に行けば受けるはずだった大学入試やセンター試験が人生においていかに学びになるか、という中での発言だったようでした。
それでも帰宅してすぐそのことを話すほど、息子の心には「残った」出来事でした。
ですが、すぐに「そんなことで揺らぐくらいの覚悟で自分の人生を決めていない」と真っすぐな目でそういったので、気にしないことにすると親子で決めました。

おそらくその講師の方の発言も言の葉が違う形でヒラヒラ飛んで行ってしまったことだと、ただそう思うだけですが、我々講師は発言にプロ意識を持つ必要があります。
切り取られて勘違いされるような発言を決してしてはいけないということです。

誰かを導く、育てる、リーダーとなって舵を取る方にあらためてお伝えします。

「言葉には人を救い育てる力がある」

と。

わたくしもまた今回の大臣の発言や息子の塾での出来事を思い出して、口から出すその言葉の責任を改めて感じた次第です。

GW、第一志望に合格した息子が久しぶりに帰宅して進学先の寮へ戻る際、こう言いました。
「充実してるよ。ちゃんとやってるから。逃げてないから。」
と。
あぁ、覚えている、とそう思いました。
その思いを胸に社会の人を幸せにするような技術者になれるよう、親としても応援していく所存です。

長くなりました。
改めて、言葉の大切さを。
せっかく口から出す言葉なら宝石のような美しい言葉を。
心からそう思います。

朝夕はまだ寒い長崎です。
みなさまにおかれましてもご自愛ください。

さぁ、今週もがんばっていきましょう。