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一期一会

高校生の頃、通学の手段はバスでした。
友達のほとんどがバスを利用していました。

ある日の朝、外掃除の当番で校門付近を掃除していた時。
校内のバス停から出てくる回送バスの運転手さんがマイク越しに「寒いからね。気をつけてね。」と、声をかけてくださいました。
初めてそんな声をかけてもらったことが嬉しくて。教室に帰ってすぐ友達に話しました。
「あ~○○さんでしょ。有名。すごく優しいんだよ。」
と教えてくれました。そんな方もいらっしゃるんだ、と嬉しく思いました。

子供が赤ちゃんの頃、どうしてもタクシーを利用しなければいけない時で「近くてすみません」と自宅まで利用した時。
家に着いてしばらくした後、ピンポーンと呼び鈴の音が。
玄関に出てみると先ほどのタクシーの運転手さんが赤ちゃん用のガーゼを持って「これ落ちてました」とニッコリ。
お礼を言って受け取ると颯爽と帰られました。

交通機関。
それを利用する僅かな時間と場所は「一期一会」の空間だと思うのです。
航空会社の客室乗務員もまた「一期一会」の精神でお客様と接しています。

観光客のみなさまが初めてその土地を訪れて交通機関を利用した時。
そこで出会う人の様子がその土地の印象になる確率が高いと考えています。

かつて航空機の乗務員をしていたものとして、同業者の旅客運輸業のみなさまに伝えます。
お客様と出会うその僅かな時間だからこそ、その時間を大事にする。

「一期一会」の精神は茶の湯の祖 千利休が生み出した考えだと言われています。
一生に一度の出会いかもしれないから、その僅かな時間を大事におもてなしをする。

この精神こそが接遇の精神だと思います。

我が町に訪れる方々へおもてなしを。
彼らにとってあなたがその土地で初めて出会う人かもしれません。

たくさんの人に感謝されるあなたであるように。
いつもの優しいあなたが伝わるように。

そんな豊かな毎日を私もまた送りたいと考えています。

先日46歳になりまして。
年を取ると人は生き方が顔に出るといいます。

自分はいい顔をしているだろうかと。
時折鏡をのぞき込んで。

鏡の前であなたはどんな顔をしていますか?

今年も残りわずか。
素敵な日々を過ごせますように。

今週もがんばっていきましょう。