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毒の粉(むかし話より)

おどろおどろしいタイトルで本日は始まりました。
みなさんは、「毒の粉」もしくは「往生の薬」という昔話を知っていますか?

むかしむかし、大変仲の悪い嫁姑がおりました。
姑は事あるごとに嫁をいびり、
嫁もそんな姑の言うことを全く聞きませんでした。

ある日、我慢のできなくなった嫁がお寺の和尚さんに相談をしに行きます。
我慢ができなくなったから、わたしはもう死のうと思う、と。
そうすると和尚さんがこう言います。
「あなたが死ぬことはない。この粉をあげよう。少しずつ体が弱っていく毒の粉じゃ。毎日お姑さんに飲ませなさい。」と。

嫁は何度も何度もお礼を言って毒の粉を持って帰ります。
それからというもの、毎日、毒の粉を姑のご飯に少しずつ忍ばせました。
味に気づかれないように、どうせ死ぬのだから、といつもより豪勢な食事を用意します。
いつものように嫌味を言われても、どうせ死ぬのだから、と口答えせず我慢をします。

はじめは「なんだか気持ちが悪いねぇ」と言っていた姑がある日、泣きながら嫁に謝りました。
自分はひどいことをしたのに、こんなにもよくしてくれて。今までのことを詫びたい。
許して欲しいと。

姑の心からの謝罪に嫁も許し、急いでお寺に向かい「和尚様、あの毒の粉の効果を消す粉をください」と懇願します。
そこで和尚様は笑顔でこう言います。
「大丈夫。あの粉はただのイモの粉じゃ。二人ともこれからも仲良くな。」と。

・・・この話は人に本質的に備わっている「返報性の原理」というものを表しています。
人に良くしてもらったら何かお返しをしなければならないと思う心情のことです。

人が人と関わると悩みが増えます。
全員が全員、自分と相性が良い人ばかりではないからです。

わたくしは基本、相性の悪い人とは積極的に付き合わなくても良いと思っています。
ですが、もし少しでも仲良くなるべき関係性がそこにあるのであれば、
まずはご自身から相手に手を差し伸べてみていただきたい。

礼を尽くして欲しいと思う相手には、自らが礼を尽くす。

そのようなことが必要なのだと思います。

本棚から子供に読み聞かせしていた昔話集を見つけたことをきっかけに、
本日はこのような内容をお送りしました。

「この人にこんなことをして欲しい」と思う方にはご自身からまずその方にそのことをしてみましょう。
それでうまく伝わらなかったら、一旦あきらめて違う方法を考えてみましょう(笑)

まずはあなた自身のために。

夏の疲れが出やすい時期でございます。
みなさまご自愛くださいませ。