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祈りの季節

長崎ではこの時期、一年の中で祈りの思いがより一層強くなります。
今年もまた8月9日、78回目の平和を祈る日がやってきます。

長崎に育ったやすもとは幼いころから、平和教育を受けてきました。
こどもの頃から「自分にできる平和とは」と考えてきました。

大人になって飛行機の仕事をすることになり、いろいろな人に出会いました。
その中で、とあるアメリカ国籍のお客様とお話したとき、幼いころから平和について考えてきてよかった、
と思うエピソードがあります。

やすもとがCAになって5年目くらい。その便は「沖縄ー成田」の便。
そのお客さまは体格の良い方で、非常口座席(CAシートの向かい側)にお座りになっていました。

やすもとの目の前の席で、着席前にお辞儀した際に一緒にニコニコとお辞儀をしてくださり、
もしも、緊急事態が起こったらこの方にお手伝いをお願いしよう、と思いながら着席しました。

着席後、
「座る前にお辞儀をするのはなぜですか?」とか、
「今から故郷に帰るんです」などと話しかけてくださり、
お話の中で沖縄の米軍基地で働いている方だということがわかりました。

そのお話のなかでニコニコしたまま「日本とアメリカが戦争したことをどう思いますか?」
と尋ねられました。

不意の質問で驚きましたが、
「悲しい出来事があった事実は今も悲しいと思います。ですが、大事なことは未来のことを考えること。
 他国の良さを認め、仲良くしていくこと。その未来が大事なのだと思います」
とお答えしました。

これはやすもと自身が考えたことではなく、子供のころからの平和学習で学んだことでありました。

ニコニコとうんうんと頷いたお客様は、その後おやすみになったり機内でくつろいでいらした後、
到着時別れ際に「今日はあなたと会えて、あなたと話せてよかった」と握手をしてくださいました。
「Me,too.」とお答えしました。

東日本大震災のとき、アメリカ軍が災害援助に来てくださったときにつけられた作戦名は「トモダチ作戦」。
かつて戦争をし合った仲でも、時間をかけて認め合い、助け合うようになりました。

生きていれば、周りに合わない人は3人はいる、と言われています。
やすもとは合わない人と無理に仲良くなる必要はないと思っています。
ですが、苦手だと思った人と仲良くなることはあるとも思っています。

もしも、仲良くなれそうな一筋が見えたとき、すこしだけ近づいてみてもよいのだと思います。
やっぱりだめだった、と思うかもしれないし、なんだいい人じゃない、と思うかもしれない。

その少しのチャンスを気が向いたら掴んでみてください。
あなた自身の心が平和で穏やかになるために。

明後日、長崎は今年も祈りの日を迎えます。