みなさんは自分のことをどのくらい知っていますか?
性格はもちろん、得意なこと、楽しいと思うこと、気持ちが落ち着くこと、
人にされてうれしいこと、嫌なこと、などなど。
自分の特徴について知ることは、自分らしく楽しく生きるために大切なことと思います。
自分らしさを知ることでそのことを極めたり、迷ったときに選択肢になるからです。
「自分らしさ」は時に人から気づかされることもあります。
優しくも厳しくもどちらの形でも。
やすもとが入社して独り立ちしたときに、とあるフライトで「厳しい・・・」と
評判の先輩の隣のポジションにアサインさたことがありました。
大変憂鬱な気持ちで仕事に臨んで一便フライトしたあとのこと。
「やすもとさん、あなたね、素朴なのよ。隙がありすぎ、お客様にあげ足取られるわよ。」
と、ガツンと一言。
おぉ、最初からの結構なダメージ。
「ありがとうございます、勉強になります。」とお返事し、とりあえず無事にフライトを終え、
その日は意気消沈して帰宅しました。
「素朴・・・」そう、やすもとは素朴なのです。
生まれた土地や環境のせいだけではなく、派手なことはあまり好まない、そのような性格なのです。
必死で仕事を覚えているうちに、「そうだ、わたしは素朴を強みにしよう」と思いました。
後方座席には団体旅行のお客様が多く、修学旅行やご高齢のお客様とお話する機会があり、
その中で楽しそうにお話されるお客様の表情を拝見するのが好きでした。
偶然、長崎からの修学旅行の学生のお客様の担当ポジションになり「長崎出身です」というと、
「えー」と驚かれ、楽しく会話したこともありました。
ちょうど今のような季節ごろ、札幌行きの便で「そのスカーフどうやって巻いているの?」
とご質問くださったご年配の女性のお客様に、実際にスカーフを巻いてさしあげたこともありました。
そのお客様が到着まで何度も嬉しそうにスカーフを触ってらして、それを見てやすもとも
大変嬉しかったことを今でも覚えています。
わたしは「素朴」を強みに、親しみやすいCAを目指しました。
ですが仕事なので、その反面、プレミアムシートなどワンランク上のクラスのお客様には、
「凛とした頼もしいCAにみえる仮面」をかぶる術を身につけました。
先輩にご指摘をいただいたから、必要以上に意識することができました。
5年経ってチーフパーサーになり、指揮順位も上位となり、
その先輩と対等にフライトについての話ができたとき、心の中でガッツポーズをしました。
「素朴さ」を軸に、たくさんの仮面を用意できるようになりました。
いま、ご指摘をいただいて落ち込むことがあっても、そのことを軸にきっといつか自分の力にできます。
あなたらしさを大事に、あなたらしさを強みに、そして少しの仮面を用意して。
過去は未来で変えられる。
今を一歩一歩生きる。
あなたらしさはあなたにしかないのだから。