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言葉には人を励ます力がある

「言葉」というのは見えないけれど、長い人生の中でその力はとても強いものだと考えています。
時に人の心の奥底の力を奮い立たせ成功に導いたり、時に刃のように人を傷つけることもあると。

かつてテレビでドラマ化された「下町ロケット」のモデルになったロケット開発者、株式会社植松電機の代表取締役 植松 努さんはTEDという世界的講演会でこう述べています。

「どうせ無理」これは人間の自信と可能性を奪ってしまう最悪の言葉です

と。自分が何が得意でどのようなことが好きなのか。
子供時代には迷い、悩み、見つめる、そのような大きな暗闇の中にいるような時もあったと今、私自身のことを思い出しています。

そんな子供たちを教え導き多くの選択肢を与えるのが大人の役目だと考えています。
小学生のころ、器用な姉よりも不器用な私は、美術や家庭科の教科では特に苦手意識を持っていました。
「おねぇちゃんよりうまくできないから、苦手なんだ。」とそう思い込んでいました。

ところが、中学生になって美術の先生が「その葉っぱの描き方いいね」と授業中に声をかけてくれました。
「こう描くともっと葉っぱらしくなるよ。決まりはないの。自分の思う通りに描いて新しい描き方を見つけたらいいの。」
と。教えてくださいました。
優しい笑顔を持つ女性の先生でした。

「決まりはない」「自分で良い方法を生み出していいんだ」
その時、初めて何かつっかえがとれたような嬉しい気持ちがあふれ出しました。
その先生の一言のおかげで、今も絵を描くことは好きですし自由な発想でチャレンジしてみることも大好きになりました。

誰かに投げかけられた一言は深く心に残ります。
何気ない言葉が人を励ましたり、また傷つけたりするということです。
相手がどう感じるかまずは想像力を以って言葉を大事に発するべきだと思います。
相手の心を深く傷つけることがないように。大人も子供も。

先日、娘のバスケットの試合がありましてね。
ユニフォームをもらえなかった子たちとギャラリーで応援していたときのこと。

何大会か連続でベンチに座れない子が居て、個人的に少し気にかけていました。
その子が試合開始何分後だったか、突然マスクをポケットにしまいました。
「つけててもいいんだよ」と声をかけようとしたとき、少し体を前に出して人一倍大きな声を出して一人、大きな声で応援の先導をはじめました。
大勢の観客がいる中、すこし静まり返ったそのタイミングで自分が声を出そうと決めていたのかもしれません。
その子の声を聞いたベンチにいる同級生が合わせて応援を始め、全体が一緒に大人も子供も声を出しました。
多感な時期できっと恥ずかしさもあっただろうし、声が届くかもわからなかったかもしれないけれど彼女の応援には人を励ます力がありました。

私は少し後ろから見ていて、すばらしい瞬間を見せていただいたな、とそう思いました。

殺伐とした世の中で、そして、「いじる」という言葉が増えた世の中で。
今一度、言葉の大切さを。
あなたが発するその温かい言葉が、誰かの人生の背中をそっと押しているかもしれませんよ。

せっかく発する言葉なら宝石のような美しい言葉を。
だれかの人生を励ましそっと手を差し伸べるような言葉を。

そう考えています。

11月の最後の月曜日。
今年もあと僅かですねぇ。

お休みの方もお仕事の方も寒さに気を付けて。
さぁ、今週もがんばっていきましょう。