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有終の美

私の父は本や新聞を読むのが好きです。
新聞は2社と契約し、今も老眼鏡を用いながら朝からじっくり読むのが日課のようです。
その父が読んで印象に残った新聞を切り抜いて、会ったときにまとめて渡してくれるのですが。
心に残るスポーツの記事をずっと取っていました。

昨年9月に行われた世界陸上の一幕。
競技が終わっただろう日本の選手がトラックに向かって一礼する姿。
試合後、他の選手は倒れこむ中、一人美しい姿勢でお辞儀をする写真でした。

彼の名前は「勝木隼人」選手。
福岡出身の35歳。自衛官。
35Km競歩競技において銅メダルを取った直後のシーンでした。

競歩という競技は本当にきつい競技だと聞いたことがあります。
足を離すタイミング、着地するタイミングなどルールが厳しく失格になる選手が多い、というイメージを持っています。

本来ならば、もう残された力もないはずの全力を尽くした試合であったはずなのに。
振り返って、トラックに一礼。
この一礼は目の前に広がるトラックだけでなく、これまで応援してくださった方々、そして、この場所で競技できた感謝の表れだと思いを馳せました。

日本を代表する野球選手で現在、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー選手は、試合前に両チームそろってお辞儀をする理由をこう述べています。

私たちもとてもがんばってきた。
そして、あなたたちもとてもがんばってきた。
だからこの場所に立てることができる。
そのことに感謝して正々堂々とプレイしよう、と。

礼に始まり礼に終わる

日本の美しい文化です。
姿勢を正して両足を揃え、一旦目線を落とし礼をする。そのあとのアイコンタクト。
想いが伝わる美しいお辞儀のコツです。

この春、卒業や転勤やその場を離れる方々もいらっしゃるかと思います。
その日を迎えるまで。
今までいろいろあったその思いをひっくるめて、感謝の気持ちを持って。
凛として美しく。
あなたらしい有終の美を飾ってください。

さぁ、少しずつ有終の美の準備を。
今日もがんばっているあなたへ。
今週も長崎から応援の気持ちを届けます。